お子さんに高学歴の称号「学士号」を与えたい場合、いったいどのくらいのオカネが必要になるのでしょうか?
高等教育機関に入学して無事卒業するまでには、受験時、入学時、在学時のそれぞれの段階で一定の費用が必要です。
一説に、高校入学から大学を卒業するまでに『一人あたりおよそ1千万円は必要』と言われています。
これは、国の教育ローンを取り扱う国民生活金融公庫総合研究所が平成12年に実施した「国の教育ローン利用世帯を対象にした調査報告」ですでに確認されています。
一般的に考えると、ローン借り入れをしている世帯といえば、なるべく出費を抑えるハズですから、あらかじめその費用を準備していた世帯も含めると、もっと大きな額になることが推測されます。
大学を始めとする高等教育機関への進学についてかかる費用といえば、まず入学時の「入学金」、毎年必要となる授業料を真っ先に思い浮かべます。
額が額だけに私立大学や専門学校などの場合、そこに目が釘付けになりがちです。
ちなみに、初年度に納入する高等教育機関の学費を文部科学省の調査統計より抜粋して紹介すると、以下の表のようになります。
これは入学金、授業料、施設設備費、実験・実習費などの名目で必要になる最小限の額で、勉学にいそしむ学生生活を営むにはこのほか教科書代やら通学費、毎日の生活費、さらに、強制はされませんが、額の大きい寄付金などが加わってきます。
ともあれ、入学時には最低でも入学金および入学年度の授業料(前期と後期で分納可能ですが、学期に入る前に納入する必要があります)を納付しなければなりません。
私立大学は国公立に比べてオカネがかかるという風評が定着していましたが、長引く不景気と少子化の中で新設大学が続々登場して、定員確保も覚束ない大学も出てくる昨今です。
国公立系は安かった学費を底上げする一方、私大系は存続をかけて据え置きを続けてきたことから、その差はどんどん縮まってきています。
文科省の調査によれば、私立大学の初年度平均学費は145万円、国立系は約82万円、公立系は出身地域での進学を優遇する政策の導入で、77万円~94万円程度。
入学金だけに限ってみれば、学部によっては国公立・私立の逆転現象も見られています。
私立大学の平均は、桁違いの学費が必要になる医学・歯学系が平均額を押し上げているわけで、文系学部では私学に特有の「施設設備費」「実験・実習費」を除けば、国立と私立の差はドンドン縮んでいます。
結局、これに受験に絡む諸費用を加えれば、国立・私立の別なく、入学するまでに少なくとも100万円は覚悟する必要があるかもしれません。
学校種別 |
入学金 |
授業料 |
施設設備費 |
実習・講習費その他 |
合 計 |
国立大学 |
282,000 |
535,800 |
817,800 |
||
公立大学(地域内) |
236,645 |
536,632 |
773,277 |
||
公立大学(地域外) |
402,720 |
536,632 |
939,352 |
||
私立大学(文系) |
253,167 |
743,699 |
158,540 |
9,782 |
1,165,188 |
私立大学(理系) |
267,869 |
1,040,472 |
189,406 |
69,693 |
1,567,440 |
私立大学(医学・歯学系) |
1,020,487 |
2,896,592 |
884,816 |
172,718 |
4,974,613 |
私立短期大学 |
250,698 |
692,507 |
172,506 |
140,218 |
1,255,929 |
私立高等専門学校 |
167,826 |
455,478 |
114,261 |
17,609 |
755,174 |
高等教育機関の初年度納入金額の平均
また在学中は、生活費や通学費、教科書・参考書代なども必要です。国の教育ローンの貸付を行う公的な金融機関として「国民金融公庫」から改組された「日本政策金融公庫」では、毎年教育ローン利用者を対象にして『家庭の教育費負担の実態調査』を実施しています。
それによると、図4に示すように、高校に入って、進学して高等教育機関を卒業するまでに子ども一人にかかる費用はおよそ700万円~1,200万円になるといいます。
図4 高校卒業時から高等教育機関卒業時までにかかる費用の合計
詳細は後で説明しますが、4年間のかかりだけでも、昨今の建売方式の低価格分譲住宅なら上モノ1軒が買えそうな額です。
お子さんをお持ちのみなさん、お子さんが18歳になるときまでにその分を蓄えられますか ?
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